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2004年6月 山川Eまどかの雑記帳
ワシントンDCのギャラリー〜360°のピカソ〜



散歩の途中、ふらりと入ったギャラリーでピカソのスケッチやデッサンのコレクションに出会いました。その週のアーティストのオブジェの展示の奥には、こじんまりとした板ばりの正方形の部屋がありました。壁四面にピカソの小作品が掛けられていまして、私一人のぐるり360°がピカソで囲まれている、非常に贅沢な空間でした。
ほとんどが鉛筆やペンで勢いよくかかれたデッサンですが、私が好きなピカソのフクロウ(ピカソの陶芸の作品にもよく登場していた、シンプルだけどとても可愛いもの)もあり、手が出ないと分っていても、『ひとつだけ自分のものになるならどれがいいか』に思いをはせてしまいました。それぞれの価格は『購入希望の方の提示額も聞いてから御相談に入ります』ということでしたが、誰もが入れる小さなギャラリーの奥にはこんな素敵なものが隠れていたのか、と驚きました。

昨年、DCのスミソニアン博物館グループの一つである、ナショナルギャラリーでもピカソ展がありましたが、正直なところ、警備員があちこち佇む空間で、多くの人々と見て廻ったピカソの油絵たちよりも、この小さなギャラリーの部屋でひとり向き合って見つめた彼の鉛筆の線の方が、リラックスしてそこに存在しているような印象でした。命のない筈の絵画でも、人がいると気疲れするのかもしれません。ちなみにこのナショナルギャラリーとは、ギャラリーとはいえども、ナショナル=国家のギャラリーというだけありまして、大きな美術館のことです。

誰でも気軽に入っていいギャラリーではありますが、見て廻った場所全てカメラでモニターされていまして、入り口には頑丈なロックがあり、人の出入りの度に施錠が中から解かれる仕組みです。ゆったりした空間を演出してあっても、確かに防犯にはさぞ気を使うことでしょう。



DC市内のギャラリーの多くは、デュポンサークルと呼ばれる地域に集中していて、Rストリート周辺に点在しています。ギャラリーは何件か並んでいたり、高級アパートの一階部分や半地下の部分にはいっていまして、歴史を感じさせる石やレンガの作りの、どれも雰囲気の良いたたずまいです。中はほとんどがフローリングで、個人の住居を改造したらしいギャラリー内は、古い建物特有の高い天井、贅沢なゆったりとした階段、それに大理石にかこまれた暖炉などを備えて、趣があります。

ワシントンDCはある意味、権力が集まる特殊な街です。それほど大きくはないですが、アメリカという良くも悪くも大国の政府の関係者が集まり、それらの人々は得てして世界的に影響力を持つポジションについているともいえます。大使館も多く、権力や地位に見合った美術をそろえる必要があるのだというギャラリーオーナーの言葉からも、個人の好みや趣味だけでははかりしれない美術品の需要といったものがある印象を受けました。

自分のステイタスに見合った場所に、つり合いの取れた住居を構え、そして内装はやはりそれなりに。自分が獲得した地位や責任や影響力などをさりげなくアピール出来るような美術品をギャラリーに捜しに行くというお買い物は、なかなか想像を広げにくいものです。そのような商品のひとつとして、ピカソがその昔に何気なく描いたスケッチが存在するということは、少々残念ではあります。


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